美しい音楽の秘密:日常に潜む数学の神秘

科学・技術
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夏の夜、遠くで聞こえる救急車のサイレンが、近づいては遠ざかっていく。
サイレンの音の高さが変わるあの現象、誰もが経験したことがあると思います。

この音の変化は、「ドップラー効果」と呼ばれるものです。
今回の記事では、この不思議な現象から、音と数学の深い関係性に迫ってみましょう。

「音」とは?

以前、光の色が波の「波長」で決まるという話をしました。
その記事のリンクを貼っておきますね。

実は、音の高さも音の波の「波長」または「周波数」で決まっているのです。

音が耳に届くとき、空気の振動が耳に伝わって、これが音として認識されています。
この振動の速さを「周波数」と言います。

下の図を見ると、1秒間に3回振動が行ったり来たりしていることがわかります。
この「行ったり来たり」1個を1周期と言います。
例えば下の図では、1秒間に3周期分振動しています。

この1秒間に含まれる「周期」が5回、7回、9回…と増えていくことを、振動が速くなると言っているわけです。

そして、周波数が高いと音の高さも高くなり、周波数が低いと音の高さは低くなります

例えば、ピアノの高い音のキーを弾くと振動数が多く、高い音として聞こえています。

「音の波」とドップラー効果の関係

ドップラー効果とは、音を発するものと音を聞く人の間の速度によって、観測される音の周波数が変わる現象のことです。

例えば、救急車が近づいてくるときは音波が圧縮されて周波数が高くなり、遠ざかるときは伸びて周波数が低くなるのです。

イメージしにくいと思うので、下に図を貼っておきますね。

こちらの図を見ると、救急車が発する音の周波数は変わっていないのに、救急車が近づいているときは周波数が高くなり、離れるときは低くなっていますね。

音の高さが変わったということは、音の波の「周波数」が変化しているということです。

音楽と数学の出会い:協和音と音の波の関係

さて、いよいよ本題の「音楽の秘密」です。

ここまで、音の高さが「音の波の振動の速さ」で決まるという話をしてきました。
この「振動の速さ」が、音楽の美しい響きに大きく関係しています。

「協和音」と聞いて、どんなものかイメージできる方はいますか?

「わかる!」という方はすごい!きっと音楽が好きな方ですね。

すごくざっくり言うと、2つ以上の異なる音を同時に鳴らした時の音(和音)のうち、その響きが心地よいもののことです。
反対に心地よくないものは、「不協和音」と呼びます。

実は、この「協和音」の美しさの裏には、数学的な理由があるのです。

異なる高さ(周波数)の音が同時に鳴った時、二つの振動が融合します。(これを波の合成といいます)
その周波数の関係が単純な倍数になっていると、人の耳に心地よく聞こえる音となります

例えば、下の図に示すように、片方の音の波を基準にして、その2倍の周波数を持つ音(オクターブ)を同時に鳴らすと、非常に調和が取れて美しい和音になります。

参考に、一枚に重ねたものも載せておきます。
規則的でどことなく美しさを感じるグラフですね。

生き物が無意識に「心地良い」と感じる音が、実は数学的な規則性で説明できるとわかると、何となく不思議な気分になります。

まとめ

ドップラー効果という身近な音の変化を感じられる現象から始まり、音楽と数学という一見遠く離れているように思える知識が、実はとても深い関係にあることがわかりましたね。

この記事を通じて、日常に潜む数学の不思議と音楽の美しさに、新たな視点を持ってもらえたら嬉しいです。

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